【UNIDO案件】レポ_ガーナ向けに納品した水分計について

2025年2月に完工したガーナ向けUNIDO無償案件で納品した水分計について、レポしたいと思います。

今回の案件の概要は、ガーナのコメ小規模農家にて女性グループが担う収穫後処理ビジネスを支援し、作業効率と生産性を上げ、コメの品質の向上を目指すというものです。
収穫後から精米までの行程に役立つ高品質な収穫後処理機材が求められ、そのうちの一つが、水分計でした。

なぜ水分計?

水分計は米(籾、精米等)の含水率を計測できる測定器で、含水率の確認は米の品質維持に大きく影響します。

収穫した稲が市場に流通出来る米の状態になるためには、籾を乾燥させ、そして籾殻を落とす(籾摺り)行程が必要です。

籾を乾燥させる目的は、米の長期保存と品質維持のためです。収穫後の籾は20~30%の水分が含まれていますが、乾燥によって適切な水分量である15%程度に調整します。米は水分量が多いと腐ったりカビが生えたり、芽が出ることもあり、長期保存が出来ず、そのような米は廃棄されてしまいます。逆に乾燥しすぎてしまうと、もみすりの行程で砕けてしまい、砕米と呼ばれる品質の劣る米になってしまいます。

今では日本は米の乾燥は機械乾燥が主流となっていますが、ガーナや多くのアフリカの地域では、天日干しがほとんどです。これでは水分量の調整は難しく、また、水分量の計測が行われずに籾摺りの行程に入ることが多いため、米の品質が保てず、せっかく育てた米の価値が上がらないのが現状です(注:一部の国では砕米が好まれる地域もあります)。

(写真:天日干しの様子)

納品・トレーニングの様子

本案件で水分計を納品した地域は、ノーザン州ミオン郡(Mion District)の6件の農家で、籾の乾燥は天日干しを行っています。

弊社の代表と、ガーナ現地グループ会社のエンジニアも現地に足を運び、現地のエンドユーザーにトレーニングを行いました。天日干しされた籾の含水率を測ることの必要性、機材の使い方などについて、皆さん熱心に聞いて下さりました。

機材のトレーニングを行っています。サンプルをサンプルトレイに載せている様子です。

順番に、練習をしています。

小さいお子様連れのお母さんも、練習してくれました。

(余談ですが、女性たちが来ているTシャツはUNIDOより配布されたプロジェクトのユニフォームです。ガーナの人々は、プロジェクト毎にユニフォームを作るのが好きで、弊社の代表やエンジニアにも配布してくれました!)

コメの収穫後処理が機械化されることで、コメの品質が向上し、コメの市場性も向上します。また、作業効率と生産性も向上し、小規模農家の現金収入向上も期待されます。

本案件のコンセプトに基づき、トレーニング参加者は主に女性を集めています。収穫後の行程は主に女性のビジネスですので、より多くの女性が機械化による生産性向上の実感を得られると思います。

今後のアフターセールスサービスの窓口は、弊社の現地グループ会社と弊社が対応し、現地の農家さんと日本のメーカーをお繋ぎし、部品や消耗品調達含め、末永くサポートさせて頂きます。